火薬の匂いとピストル型のペンライト ―KAT-TUN「10th ANNIVERSARY LIVE TOUR "10Ks!"」にいってきました

音楽番組などでKAT-TUNを見る度に、いつか自分がSexyZone以外に好きになるグループがあるとすれば、それはKAT-TUNなんじゃないか、とずっと思っていた。非日常的な世界観の楽曲と、その楽曲に負けないくらい圧倒的に美しい人たちが好きだから。でも、ずっとこわいイメージがあって近づきがたかった。会員制クラブのゴージャスなソファルームで、毎晩女をはべらせてワイングラスをかたむけてそうなイメージ。映画『ピンクとグレー』で菅田くんに裕翔くんが連れられてくとこみたいな。

 

今回のドーム公演も、急に仕事が入った同行者の代わりに行かないかと友人から誘われたとき、一瞬ためらった。演出がすごいと聞くKAT-TUNのステージ、めっちゃ見たい。でも、長年ファンを続けてきた方たちにとって特別な意味合いをもつ空間に私が行ってもいいものか。東京ドームのコンサートも、SexyZone以外のジャニーズコンサートも行ったことがない。映像もほとんど見たことがない。経験値が低すぎるのでは…。粗相して体育館裏に呼び出されたらどうしよう。迷った末に、やっぱり観たい!となって、5/1の公演にお邪魔させていただくことになった。

  ということで、KAT-TUN「10th ANNIVERSARY LIVE TOUR "10Ks!"」に行ってきたよ!とりあえず、すっごい楽しかったです!感動して書きたいことが山ほどあるのに、記憶がぶっ飛んでいたり、言葉が足らなかったりしてもどかしいけど、とにかく書きたいから感想書きます。粗相があったらすいません。

 

 

 

 

当日。初めてのドーム、初めてのKAT-TUNに若干緊張しながら、友人に指定された三角のモニュメントに向かった。すでに集まったファンの様子に圧倒される。パステルカラー少ない!黒い服率高い!あとネイルの色がボルドーとか黒とかゴールドで何かギラギラしてる!SexyZoneと違う!やばい、パステルピンクのお星様ネイルとかしてる場合じゃない!!

何より驚いたのは、グッズのTシャツをかわいく着こなしている人の多さ。Tシャツのデザインもハイフンさんたちの雰囲気と合ってておしゃれ。以前Twitterか何かで、「自分の女(ファン)にダサいグッズは持たせられねぇじゃん」みたいな亀梨くんの発言を読んで、何それかっこいい!って思った記憶があるのだけど、本当にそうなんだなって感心した。

 

会場に入って「ドームって本当に大きいな…」「ペンライト、スイッチが引き金がになってて、ほんとにピストルだ…」ってドキドキしているうちに身体にずんずん音が響いてきて公演スタート。

 

 初めて生で見るKAT-TUNは、なんていうか、ひたすら「圧」がすごかった。

この「圧」のことを「オーラ」というのかな。登場した瞬間に圧倒されて、気付いたらペンラあげて「ギャー!」って叫んでた。

 

 

  •   気持ちよくする天才亀梨くん

テレビで見て知っていたはずなのに、生の亀梨和也は本当にエロ美しくて、気づいたら亀梨くんをずっと見つめてた。セクシーじゃなくて、エロい。亀梨くんが触れると空気がエロくなるのか、花道歩いてるだけで、タオル肩にかけるだけで、首をちょっとかしげるだけでエロい。

亀梨くんが大画面に映るたびに、「フゥーッ!!」とか「ヒョーイ!」みたいな声が自然と漏れ出た。私から漏れなくても、後ろから横から前から同じような声が聞こえてて、美しいお兄さんがエロい仕草することに歓声をあげられるこの空間最高だなって思った。亀梨くんがサングラス外したり、舌打ちする大きなキメポイントも、「あ、これテレビで見たやつ」って思った次の瞬間には、周りの人の声に引っ張られて私も「ギャー!」って言ってた。もはや気持ちよく叫ばせてくれてありがとう!っていう気持ち。

 

ジャニーズに全然興味がなかった学生時代、いとこに突然「いいから、とりあえず黙って見て」ってKAT-TUNの『Real Face』のPV渡されて、二歳下の妹とふたりでKAT-TUNに釘付けになったことを思い出した。

私「も、もう一回見る…?」

妹「…うん、もう1回だけ見よっか(生唾ゴクリ)」

みたいなのを100回くらい繰り返した。腰をぐりんぐりん回すお兄さんたちと、やたら股間がアップになる画面を凝視する娘たちに、

父が「おまえたち、これはセックスのメタファーなんだぞ。分かってんのか?」

って言ったのも思い出した。父、10代の娘にセックスって言うのどうなんかな!?「メタファー」って言葉の使い方も間違ってるよ!「暗」喩じゃないし!あれはそのまんまセックスだよ!ジャニオタになった今なら「セックスのメタファーじゃなくて、セックスシンボルだからっ」って返せたのに!!!!!!

まぁチャラくて悪そうなお兄さんとその股間に熱中している娘たちに、何とかして冷水ぶっかけたかったんだろうな父。

一気に見すぎて過剰摂取したせいか、私と妹がKAT-TUNにそれ以上ハマることはなかった。でも生亀梨和也を見て、KAT-TUNに夢中になったあの一週間の、ねっとりとした熱狂を思い出した。

 

ドームの亀梨くん、歩いてるだけでエロかっこ美しいんだけど、やっぱり「MOON」で女性ものの着物を巻いたマイクスタンドと戯れる亀梨くんがすごい。「堕」とか「淫」とか、そういう漢字もぜんぶ亀梨くんのためにある気がした。なんていうか亀梨くんの方の性欲の発露ではなくて、私(たち)の性欲を引っ張り出してきて、大切に丁寧に優しく扱ってくれているのを見せつけられてる感じ。

MC中に、グッズの目覚まし時計の音声を録音するというコーナーがあったんだけど、「ラストだから亀梨くんらしくやりきってよー」っていうスタッフさんのリクエストに応えて、

「ほら、起きろよ、起きろって。…起きないといつものやっちゃうぞ。…ちゅっちゅっ…ちゅ…ちゅ…やっと起きた」

って本気出してた亀梨くん。五万五千人の前でエロい起こし方を実演する亀梨くん。録音中、付けてたテング衣装のマントをずっと頭からかぶってて、

「さすがに、これやる顔は恥ずかしくて見せられなかったわ」

みたいなことをはにかみながら言う亀梨くん。もうその恥じらいまで含めて、亀梨和也のエロかっこいい様式美みたいなのを感じて、とても興奮した。

私は父とは違うので、あえてマッサージって言いますけど、亀梨くんに限らずKAT-TUN三人とも凄腕のマッサージ師さんみたいだった。マッサージの時、ちょうどいいタイミングと力加減でツボおされると、「ふわぁーそこです!」みたいな声がでるじゃないか。KAT-TUNは三人ともこっちが欲しいタイミングで、欲しいかっこよさをキメてくれるから、「フゥー!!!!」って自然と盛り上がっちゃうんだなって思った。KAT-TUNの手のひらで上手に気持ちよく転がされて、フゥー!って声出すの、すっごく楽しかった!

 

 

  • ずるい。一緒におさけ飲みたい上田くん

上田くんは、本物のバイクに乗って登場したり、客席に手榴弾を投げつけてきたり、私の中のKAT-TUNのイメージそのままだったけど、だからこそMCのときの言葉の選び方がとてつもなく繊細なことが意外で印象的だった。きっとこちらに投げかける言葉をすごくすごく丁寧に選ぶ人なんだろうなって思った。

目覚まし時計録音コーナーで、あえて大声で怖い感じの音声を吹き込んで、あとから「子どもたち、勘違いしないでね?怖くないからね?不器用なだけだから!」って言ってて、思わずこの人かわいい…ってギャップにきゅんとした。

 小市民の私はKAT-TUNって完全な異世界の住人だとばかり思ってたけど、MCが始まったら三人ともびっくりするくらい普通のお兄さんみたいなことばかり言うし、しょうもない感じでボケるし、そのボケが誰にも拾われなくてかわいそうだったりするし、でも最後の最後は誰かがフォローしてあげるしで、パフォーマンスとのギャップにきゅんきゅんしっぱなしだった。ファンのことを綾小路きみまろみたいにいじって三人でにこにこしてるのもかわいすぎた。このギャップはずるい。正直、今ジャニーズで一番KAT-TUNと一緒におさけ飲みたい。こんなにかわいい人たちなら、もっとバラエティ番組見とけばよかった。 

 

 

 

 

  • 最終兵器なかまる先輩

そしてギャップといえば!なかまる先輩!毎週お茶の間にむかって「まじっすか!」って言ってるヘタレキャラのイメージしかなかったのに、『STAR RIDER』でこなれた感じでレーザー操りまくるし、途中めがねが似合いすぎてるし、あれ中丸くんってこんなにかっこよかったのか…って動揺した。もう次からTwitterとかで○○ポジネタのツイート見ても笑えなくてドキドキしてしまうかもしれん。今日もほんの出来心で「中丸雄一 メガネ スーツ」「中丸雄一 浴衣」で検索かけてしまった。意外にドンピシャな画像が出てこないので、どなたか検索の仕方アドバイスください。賢くて冷酷な感じのなかまる先輩が見たい。でもそんなん見たら、やっぱりチン○○ネタツイート笑えなくなってしまいそう。それは困る。

コンサート中、見つめていた時間は多分亀梨くんが一番長くて、二番目が上田くんだと思うんだけど、映像として頭の中に一番濃く残ってるのは、『春夏秋冬』のピストルかまえた中丸くんの表情なんだよな。強くてきれいで、忘れられない。私にとって初めての東京ドーム、初めてのKAT-TUNの思い出は、イコール中丸くんのあの表情になる気がする。

 

 

 

  •  背負うこと

KAT-TUNの東京ドームに行く前に、知り合いのブースをのぞこうと「文学フリマ」というイベントに寄ったところ、アイドル本を出されている方がいたので購入した。こちら。

m-3310.hatenablog.com

ドームからの帰り道、一人になって電車の中でなんとなくこの本を開いたら、亀梨くんを好きな方のインタビューが載っていた。少しだけ引用させていただく。

 

―じゃあ、KAT-TUNの"かっこよさ"はどこにあると思う?

やっぱり曲じゃない?曲の系統がかっこいいから、パフォーマンスもかっこよくなる。本人たちも「かっこいいのがKAT-TUNだ」って思ってるだろうし。 

 

―今、カメのどこが一番好き?

出た、その質問。全部。

 

―即答だ。

 待って、ちょっと考える。…アイドルでいようとするところ。「俺はアイドルでしか生きていけないから、アイドルとして生きていくんだ」って覚悟を決めて、腹くくってそうなところ。

(中略)

 

―それを一番感じるのはどんな仕事のとき? 

舞台かな。あとは映画とか、大きめの仕事をやっているとき。”背負ってる感”が目に見えるじゃん。

 

 

「背負っている」という言葉で、最後に三人がひとりずつ挨拶したときの、一言一言を思い出した。

 

上田くんが、「一緒にたたかってください」って言葉を選んでいたのが、個人的に一番ぐっときた。これからも、「一緒に」「たたかう」んだ。

中丸くんはグループとしての活動がなくなることで、ファンのコミュニティが薄くなってしまうことをずっと気にしていた。「信じて待っててね」って言うよりも、「個々の活動をジャニーズWebでちゃんとチェックしてね」っていうことが、中丸くんの信じる誠実な態度なんだって伝わってきた。

亀梨くんは、何度も「KAT-TUN亀梨和也として」って言っていて、掲げた未来を叶えられなくて申し訳ないって言っていて、6人分のKAT-TUNを背負っていて、インタビューに答えてる方の好きな亀梨くんそのものだったなと思った。

 

わたしもよくアイドルに対して「背負ってるところが好き」と言ってしまう。これまで「背負う」って、「アイドルという特殊な職業を全うすることに付きまとう様々な困難を、運命だと受け入れること」みたいにぼんやり思っていた。

でもKAT-TUNのコンサートに行って、認識が変わった。「背負う」って、アイドルとしての自分の人生を受け入れるだけじゃなくて、過去も、未来も、ファンの気持ちまでも受け止めることなのかも。

 

さっきも書いたけど、ピストルを持ったときの、中丸くんの表情が忘れられない。「船で過去の楽曲をめぐる旅」に出発する前、たぶん「春夏秋冬」のラスト。海賊の衣装を着て、持っていたピストルを中丸くんが掲げたとき、ひやりと背筋が寒くなった。銃口をこめかみにあてがったように見えたから。

昨年放送された『ナカイの窓ゴールデン伝説のアイドルスペシャル』で、中居くんが話していたチェッカーズの解散ライブの話が思い浮かんだ。フミヤさんがステージ上で、メンバーを一人一人銃で撃って殺していく演出*1を見て、中居くんは「(グループとして)こういう終わり方もあるんだ」と思ったという話。

ジャニーズのグループの終わりをわたしはリアルタイムで見届けたことがない。海賊船の高みから客席を見下ろす三人は夢みたいに美しくて、このまま自分たちでピストルでおしまいにするのかもしれないと思った。

でも、そんな風に思った次の瞬間、中丸くんはピストルを視線の先の遠くめがけてかまえた。銃声が響いて、暗転。

よかった、やっぱりKAT-TUNはまだ終わらないんだって思った。四人でいることに慣れていたから、三人だとステージでの立ち位置が少しずれてしまう中丸くん。KAT-TUNで居続けることは、今までの嬉しいことも、想像をこえるような悲しいことも全部刻み込まれた身体を、ファンの前にさらし続けることだ。悲しみを引きずらないために、グループを終わりにするという選択肢だってあったはずだ。でも、彼らはそれを選ばなかった。全部全部背負った上で、過去の楽曲と向き合って、一緒に未来を作っていくんだって信じさせてくれるパフォーマンスを見せてくれた。

  

 

  • ピストルの形のペンライト

すげえなKAT-TUNってドームからの帰り道、何度も何度も思った。どうやったら、あんなふうに強くなれるのかな。アイドルでもないし、東京ドームを埋められるような人間でもない私も、ただ生きているだけでいろんなものを失う。若さも、思い出も、可能性も、大切な人も、毎日どんどん失っていく。大切な人をひとり失うだけでも、どうしようもなくつらいのに、いつかまた繰り返されるのかもしれないと思うと、前に進む足がすくむ。でも、あのドームからの帰り道、馬鹿みたいなんだけど、ピストル型のペンライトがかばんに入っていて、なんだかちょっと強くなった気がした。

だって、ジャニーズ以外のライブも含めて、客席を見るなんて経験は初めてだった。コンサート中、何度も何度も客席を見つめてしまった。近くの認識できる顔はどれもめちゃめちゃ楽しそうで泣いてるけど笑ってて、遠くの客席は赤い光が大きく同じように動いていて、三人にはステージの上からこれが全部見えてるんだと思ったら、その事実に泣けた。KAT-TUNはめっちゃ強くてかっこよくて、でもKAT-TUNを強くしたのは、多分あの一人一人の表情とか、赤い光の波なんだよなと思う。うまく言えないけど、ピストル型のペンライトを見ると、あの日の赤い光のすごい熱気は夢じゃなかったんだって思えて、私もできるかぎり強くありたいと思う。

 

 

亀梨くんが客席に向かって「今日のことを心に刻め」と叫んでいたんだけど、私はこれから東京ドームに行くたびに、火薬のにおいでむせたことと、家の引き出しにしまってあるピストル型のペンライトのことを思い出すんだろうなあ。というか、もう明後日、友人に誘われてSHINeeの東京ドーム公演行くんですけどね。ピストル持っていこうかな。

 

KAT-TUNのコンサート、また、絶対いきたい。待っています。そういえば、SexyZoneの松島聡くんも東京ドームに行ったようで、ジャニーズウェブの「薔薇色の日々」というブログでコンサートの感想を書いています。めちゃめちゃ良い感想なので、もし今この記事を読んでご存知ない方いたらぜひそちらもチェックしてみてください!おすすめです!はあー、書いてたらなんだかほんとにKAT-TUNのコンサートまた行きたくなってしまった。

 

 

 

 

ジャニーズのコンサートの感想です。よかったらどうぞ↓

 

chocomintholic5.hatenablog.com

 

 

*1:実際には解散ライブだからではなく、もとからそういう演出の曲で、他のライブでもやっていたらしいけど。