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恋を勉強中の君へ―『時をかける少女』第2話のはなし

時をかける少女』第2話をやっと見た。

あいかわらず、未羽、吾朗、翔平の青春きらきらっぷりがまぶしい。恋愛を参考書で勉強する未来人かわいい。第2話は未羽たちの担任、数学の矢野先生がメインの回で、先生役が加藤シゲアキさんなのが、とてもよかった。

 

未羽は進路面談中に、矢野先生にこんなことを尋ねる。

「あの、生徒に恋したことありますか?」

「何だよ急に、ないよ、あったら問題だろ」

「だけど、生徒に恋されたことはありますよね?」

「なんで?」

「先生はその子のことどう思ってたんですか?」

「ないよ、恋されたことなんて」

「前の学校で、ほんとにありませんか?」

「勘違いしそうになったことはある、かも」

「勘違いじゃないです」

「結局わからなかったし、もうわからないんだ。余計な事言いふらすなよ」

 

タイムリープによって、かつて矢野先生のことが好きだった女の子の存在を知ったからだ。

今回タイムリープするきっかけになったのは、クラスメイトの西岡君。未羽たちは、西岡君が二年前に心臓の移植手術をうけたこと、それ以来なぜか高いところが好きになってしまったこと、そしてなぜか毎日決まって20時20分になると胸がドキドキすることを打ち明けられる。おそらく、心臓を提供してくれたドナーの影響なのだろうと。

 

過去の世界で出会った西岡君のドナーこそ、矢野先生のことを好きだった女の子だった。ギリギリまで図書館で勉強をし、矢野先生が20時20分の電車の乗る姿を見届けてから帰る。それが彼女の習慣だった。先生と生徒という関係性だから、声もかけず、見ているしかなかった女の子。秘めた恋心を一度も打ち明けられず我慢したまま、二年前に自転車事故で亡くなってしまった女の子。

 

想いを伝えないまま死ぬなんて悲劇だ。超悲劇。あの子の恋心がないものにされてる、確かにあったのに。

 

別にモノを撮らなくてもいいんじゃない。時間を撮れば。未羽がどんな一瞬を残したかったのか見てみたいけどな。写真っていいよね、一瞬をずっと先まで残せるんだもん。

 

彼女の想いを何とかして矢野先生に伝えたいと思った未羽は、翔平の助言をきっかけに「恋している瞬間」を写真に撮ることにする。彼女が駅で矢野先生を見つめる横顔。

そして、矢野先生の下駄箱にその写真を入れておく。

 

 

「過去を変えたいんじゃないの!ただ知りたいだけ!」とタイムリープしまくり、秘められたままだった恋心を知って勝手にカタチにして矢野先生に見せてしまう未羽は、ある意味でとても残酷だ。あの女の子は本当にそうしてほしかっただろうか。それによって誰かが救われたのだろうか。

残酷だけど、真っ直ぐで無邪気な強さがまぶしくもある。人の、大切な気持ちを知ることを恐れていない。 何かを余分に知るということは、何かを選ぶことにつながるし、それは、つまり何かを選べないということだ。一人の女の子の想いを知ってしまえば、きっと生きててもらいたくなる。でも、その子の命を救って運命を変えてしまったら、心臓移植を受けた西岡君の命が助からない。

知ることを恐れず無邪気にタイムリープしていた未羽は、自転車事故に遭う彼女を助けられない痛みを味わうことで、初めて知ることの重みを実感する。

 

死んでしまうと分かっている人に何もできない無力さ。

未羽がカタチにしたことで矢野先生は救われただろうか。女の子は救われただろうか。 

 

 

でも、未羽の行動に意味がなかったわけじゃない、と思う。

未羽がタイムリープして女の子のことを知っていく過程は、過去の出来事なのに、まるで新しい物語を紡いでいるみたいだった。無数にある過去の瞬間を、切り取って、未羽の視点でつなげる。

祈りとか願いって、普通未来に対してのものだ。でも「思いを伝えないまま死ぬという悲劇」をなんとかして回避したいという、未羽の祈りにも似た気持ちは、もしかすると過去にも通じるのかもしれない。未羽の「こうあってほしい」という視点を通すと、過去の世界がとても美しく愛しいものに思えたからだ。

 

 

 

想いを伝えられる矢野先生役の加藤シゲアキさんは、ご存知の通り小説家でもある。私は『ピンクとグレー』を一年半前に読んだ。友人にすすめられて『傘を持たない蟻たちは』も購入したけれど、まだ読んでいない。(すみません早急に読む)

『ピンクとグレー』はとても好きな作品だった。すでに死んでしまった蓮吾の物語を、河田が紡いで小説や映画というカタチにする話だと思っている。物語を紡いでも、喪った人は戻ってこないし、誰も救えないかもしれない。でもそれでも紡ぎ続ける。無力感に打ちひしがれながら、それでも過去と未来に向けて祈るような作品だと思った。(本当に勝手なことを言っていると思うすみません。でもそんな印象がずっと残っている)

 

 

 

だから、第2話を見て矢野先生を加藤さんが演じることに運命めいたものまで感じてしまった。知ることの痛みを、物語を紡ぐことの痛みを知っている人。過去と未来への祈りと、その無力さと、それでも祈り続ける意味を、知っている人。矢野先生は、彼女の想いを知って救われたのだろうか。

 

 

 

 

 次回(といってももうもうすぐですね)は、文化祭回で「ロミオとジュリエット」やるみたいです。恋をしてはいけない二人の物語。なんですが、なぜか翔平がジュリエット役???矢野先生がパラパラ踊る????毎回、三角関係とは別に深町親子の食事シーンにもときめいてしまうのですが、翔平のお母さんの過去もそろそろ明かされそうですし、最終回の展開にもがっちり絡んできそうですし、楽しみです。

 

第1話のざっくりとした感想。

chocomintholic5.hatenablog.com

 

 エンディングテーマもとても素敵です。

恋を知らない君へ

恋を知らない君へ