天国のチャンプたちへー『DREAM BOYS』を観てきたよ!〈1〉

9月13日(日)のソワレ観てきました!念願のドリボ優馬風磨マリウス版!風マリがほめられてるのが自分のことのようにうれしくて、ものすごいハイテンションで浮かれながら帝国劇場に向かった記憶があるのですが、なんていうかもう、期待以上でした!ドリボは初観賞でしたが、伝統ある『DREAM BOYS』という作品の奥深さがぶわーっと伝わってきて、かなり感動してしまった!涙のせいでよく見えなかったシーンがあるので、映像化本気でよろしくおねがいしたい。ドリボ自体のファンになったので、玉森千賀宮田バージョンや過去作品もめっちゃ観たいよ!!ぜひ映像化おねがいいたします!!!

 

とりあえずオープニングからマリウスくんのフライングの優雅さに「マリウスが!フライングしてる!帝劇で!いまこの瞬間!まじ王子!まじ理想の王子様!美!美!美!涙」と感極まり、最後までそのテンションだったので、正直優馬も風磨もマリウスも超よかった!っていう感想がすべてです。でも気づけば観賞時から一ヶ月以上経っている今も、帝劇のドリボは終わったけど僕のこころのドリボはまだまだ終わりません!という感じで、『ナカイの窓ゴールデンSP』での中居くんと佐藤アツヒロくんの話にドリボの世界を重ねて泣いたり、10月発売の雑誌での風磨くんの発言に胸がアツくなったりしている。

セリフとかシーンは覚えている限りのニュアンスなので、なんか間違っていたらぜひ教えてくださいませ!

 

 

  • 『DREAM BOYS』は、継承の物語

おさらいのために、パンフを参考に簡単にあらすじをまとめてみる。

 

幼馴染であり、ボクシングを通じて友情と絆を育んできたユウマ・フウマ・マリウスの三人。チャンプに輝いたフウマは、過去に自分が負けた唯一の対戦相手であるユウマとの再戦を望むが、ユウマは突然ボクシングの世界を去ってしまう。

実はユウマは、心臓病の弟ユウキの移植手術のために大金が必要だったのだ。半年後、チャンプフウマをモデルにした映画にユウマが主演し、プロデュースをマリウスがすることが決まり、三人は再び引き合わされることになる。 フウマは、ユウマとのボクシング対決を、映画撮影の条件として提示するが、フウマの身体はすでに…

 

ジャニーズ舞台のあらすじ、まとめるのむずかしいよね!笑。ここに謎の女リカとマダムとか、後輩ヤスイなんかが絡むんだけど、今回書くことにあんまり関係ないので割愛。

中山優馬くん演じる主人公ユウマと、菊池風磨くん演じるチャンプフウマはシンメトリー*1な存在。主人公のテーマカラーは赤、チャンプは青。ジャニ舞台には赤と青のシンメがよく出てくる。ボクシングもスポーツとはいえ興業の世界だし、すんなり主人公の映画主演が決まることから、二人ともボクサーとして芸能事務所に所属して活動してるのかな。ボクシングと映画の世界が地続きになっている。どちらもショービジネス(=ショービズ)の世界。

ドリボのテーマは、このショービズの世界を生きる二人の「継承」ではないか。フウマからユウマにショービズの世界で生きる者の精神が引き継がれる。なぜ、主人公の「すべて引き受けてやるよ!」と、チャンプの「仲間と過ごした人生、悔いなんかねえよ!」があんなに印象的なのか。それは、それぞれ二人のショービス人生の「はじまり」と「おわり」のシーンだから。

『DREAM BOYS』はボクシングの世界を生きる者の姿を通して、同じようにショービズ界を生きるジャニーズアイドルの「はじまり」と「おわり」の景色を私たちに見せてくれる作品なのではないかと思う。

 

 

 

 ユウマは、ショービズの世界ではなく「現実の世界」を一番にして生きている人。弟とのささやかな生活を守るために、あっさりチャンプとの試合を放棄してしまう。物腰が柔らかくて弟思いのユウマは、家族思いのイメージが強い現実の優馬くんそのものという感じ。特に、チャンプとの試合が決まったあと、マリウスや弟のユウキとおしゃべりするシーンがめっちゃ優馬くん。

 

マリウス:ユウマ、チャンプとの試合だいじょうぶ…?

ユウマ:大丈夫だと思う?見たでしょ?「手加減はしねえからな!(フウマのモノマネで。似てる)」 手加減してくれよぉ…

 

 ボクシングを辞めて半年経った状態で現役チャンプと試合するなんて、いくら弟を助けるためとはいえ、無謀すぎる。目の前の困難に対して冗談を言って周りを笑わせながら淡々と立ち向かうユウマ。優馬くんは今までもこうやってふりかかる大役を引き受けてきたのかな。今回のドリボの殺人的スケジュール(通し稽古たった1日だっけ?)にも「手加減してくれよぉ…」って言って笑いながら誰のことも責めずに立ち向かったのかな。

チャンプとの試合当日、ユウマの運命は一気に変わってしまう。映画に出資しているマダムの失脚を狙う者たちの策略により、ユウマのグローブの中から鉛の板が見つかるのだ。鉄拳に倒れて病院に運ばれるチャンプ。押しかけるマスコミ。急にユウマを責めたてる人々。

マスコミから身を隠すユウマにさらなる不幸が襲いかかる。弟のユウキが、チャンプの仲間であるヤマモトを誤ってナイフで刺してしまうのだ。ユウマはユウキをかばい、警察にまで追われる身に。

こんなスキャンダラスな事件が起こった映画だから、映画は世間から注目され、ヒットに近づくかもしれない。でも、その代償としてユウマは、さまざまな人の好奇の目にさらされることになる。実際には何一つ悪いことをしていないのに、大事な試合で反則行為をした上に傷害罪まで犯したというひどいイメージがつきまとう。弟思いの優しい兄優馬と、勝利のために残酷で容赦なく相手を傷つける悪党ユウマ。身を隠して逃げれば逃げるほど、どんどん現実の優馬と、世間のユウマのイメージが離れていく。これ、まさにショービズ界に生きる者の苦しみではないだろうか。他人から持たれるイメージが自分のコントロール下になくなってしまう恐怖。みんながSNSを使う現代では、私のような一般人でもなんとなく理解できる気がする恐怖。

 

ユウマの「すべて引き受けてやる!」というセリフと、赤幕を一気に引っ張って落とすという演出がとにかく印象的な一幕おわり。なぜこんなにこのシーンのユウマに惹きつけられるのか。それは単純にユウキの罪を引き受けるという意味ではなく、マスコミや世間によって勝手に作られていく自身のイメージを引き受けて生きてやると言っているからではないか。歌舞伎の振り落とし幕みたいな演出なんだけど、これ幕を下ろすっていうより、幕開け的な意味の演出だと思う。つまり優馬のユウマとしてのショービス人生の「はじまり」の瞬間。ショービズの世界で生きざるを得ない自分の人生を引き受けた瞬間。

二幕の最初におどろおどろしい謎のショーが続くのは、ショービズ界に生きる者の苦悩?…多分。よく覚えてないけど、お面を次々外していく変面とか謎の黒ローブ集団とか、なんかそれっぽい。本当の自分とは?誰が味方で誰が敵なんだ??みたいな。

で、そんなぐちゃぐちゃな世界を通り抜けて挑むのが大技「ゆうまわる」。ショービズの世界は成功と失敗が紙一重。ほんの少しのことで足を踏み外してしまうという厳しい世界。何度も足元やグローブを確認して、息を整えて、技に挑む優馬くんの表情。優しい青年優馬が自分の背負う運命を引き受け、ユウマとしてショービズ界を生きる覚悟をもつ、主人公の「はじまり」の物語。だから、ストーリーが進むごとユウマはどんどん帝劇の0番に立つのが似合っていくのです。最初からかなり似合ってるけどね!

 

 

 

  • チャンプフウマ=ショービズの世界から、現実の世界へ

 フウマは、現実を捨てて「ショービズの世界」を大切にして生きてきた人。「親兄弟も女も捨てて、食うもんも食わねえでチャンピオンになろうって覚悟じゃねえのか。そんなんだったらやめちまえ!」というフウマは、やっぱり現実の幸せを捨てて夢を叶えてきた男なのだよね。

そんなフウマの夢の世界を、少しずつ現実が侵食してくる。戦うことにかまけて、これまでおろそかにしてきた自らの身体。実はフウマの頭蓋骨にはヒビが入っており、どちらにせよ長く生きられない身体だったのだ。なぜフウマがあんなにも主人公との対戦を熱望したのか。それは、きっと自分の人生のおわりの前に、「ショービズ人生」の「おわり」を迎えたかったからではないか。死ぬときはチャンプフウマじゃなくて現実の風磨として周りの人達と過ごしたかったのかもしれない。

天国シーンの「最高の仲間と過ごした人生、悔いなんかねえよ!」というセリフ。ここでフウマが笑顔なのは、ショービズの世界だけを見ている孤高のチャンプフウマではなく、現実の世界の風磨としてユウマと接することができるから。アドリブは天国シーンだけなんだよね。ここで風isネタはずるい。かつてショービズの世界を生きる者として覚悟を決めてすべてを捨てる前のチャンプはきっと、風磨くんみたいに優馬くんの楽屋でいつも寝てたり、知らない間に優馬くんのお母さんと仲良くなってたり(ストーリー上ではそれマダムや…)、マリウスが「ふーまくんいるー?」って探しにくるような子だったんだろう。

 

 

 

  • マリウス=ユウマとフウマ、現実とショーの世界をつなぐ

マリウスは今回、観客に寄り添ってエスコートする役割だったと思う。「ユウマにもフウマにもどっちにも勝ってほしい!」「ユウマがそんなことするはずないと思うけど…」「リカさんがなんだか気になるな…」っていうセリフは、初めてドリボを観る私の心の声そのもので素直に「そうだよねマリウス!」って思いながら観た。ラスト近くの「本当に悪い人なんて誰もいなかったんだ!」っていうのもマリウスが言ってくれると、なんか「そうなのか?…そ、そうなのかも…まあそんな感じだよねー」って素直に納得できてしまう気がする。マリウスパワー。ストーリーをほぼ知らずに観た私は、お話の受け止め方をかなりマリウスに導いてもらった。

ドリボに限らずジャニーズ舞台って、役者がジャニーズアイドルであることを前提につくられていると思う。役名はタレント名をカタカナにしたものだし、だいたいショービズ界について描かれてるし、観客が演者のバックグラウンドをある程度わかっていること込みで作られている。だから観客が役の向こうに、演じているアイドル自身の今の輝きとか、背負っているものを二重写しで観ることで初めて成立する舞台だと思う。役を通すことで、背負っているものがより普遍的に生々しく伝わる気がする。

ストーリーの中で、ユウマ=現実を生きる人と、フウマ=ショーの世界を生きる人の仲を何とかつなごうとするマリウス。同時にマリは私たち観客が、現実のアイドルと、ショーの中の役を重ねて鑑賞するのを助けてくれる役割も担っていたのかなと思う。

これはたまたまだけど、マリウスだけ役名とタレント名が同じ(両方カタカナ)なのも、現実とショーの二つの世界をつなぐ役としてよくできてるなって妄想した。

 

 

 

 

  • なぜボクシンググローブと心臓を渡すのか

ボクシング対決を機に、ユウマのショービズ人生がはじまり、フウマのショービズ人生がおわる。私が「ドリボって継承の話なんだ!」って思ったのは、フウマの病室シーン。フウマに憧れるユウキがお見舞いに来たとき、弱音をはくユウキに、自分がタイトルを獲ったときのグローブをプレゼントするフウマ。

 

ユウキ:ぼくもフウマみたいにチャンピオンになりたかったなぁ

フウマ:おまえの周りにはおまえの夢を叶えたがっているやつがたくさんいる。マリウスも。ユウマだって。

 

ユウキが帰ったあと、病室を訪れたマリウスにすがりつくフウマ。。

 

フウマ:ユウマを助けてやってくれ、マリウス。おまえにしかできないんだ…

マリウス:ボクにできることは何でもするから。今は休んで?

 

そして、主人公との思い出の曲である『DREAM BOYS』を口ずさむ。

 

 終わらない夢を描こう 雨の日も風にも ずっと

 

この歌声で継承の話だって、確信させられた。病床のフウマの歌声は、少し音が外れていて、かすれていて、とぎれとぎれ。やっぱり身体相当悪いんだ。でもそこまでして伝えなきゃいけないことがフウマにはあるんだ。

どんな世界でもチャンピオンになれるのはたった一人だ。一人がチャンピオンでいるためには、たくさんの人たちの支えがあったはず。そして、チャンピオンに負けた人たちの数え切れない挫折があったはず。頂点の景色を知っているチャンプだからこそ、そこに到達するまでにたくさんの犠牲を見てきている。そうやって自分のかわりに犠牲になったたくさんの人の夢を背負って、たくさんの夢の残骸を踏みしめて、フウマはリングに立ってきた。

 風磨くんに限らず、誰かがデビューするってことは別の誰かがその夢を諦めることかもしれなくて。誰かが美しくフライングするためには、その何倍も支えてくれる人が必要で。一人がステージで輝くためには、ものすごい数の支えと犠牲がある。

ドリボ前の8月のレコメン(文化放送のラジオ)でジャニーズのデビューについて風磨くんはこんな風に言ってる。

 

終わりなき戦いですね。人生を賭けた勝負ですね、これこそましゃに。(本人の発音ママ) 

 

めっちゃカッコイイこと言ってんのに最後で噛む風磨くん笑。

たくさんの人の夢を犠牲にして、背負って、ステージに立つ「人生を賭けた勝負」は、私には想像できないくらい苦しさをともなうものだろう。でも、それ以上に選ばれた者にしか味わえな素晴らしいものなのだろう。ガムシャラのスペシャルでそんなことを言っていた子がいた。それをフウマは、風磨くんは、知っている。だから自分の夢が終わるまえに伝えなきゃいけないことがある。風磨くんの場合、たまにその苦しさにもがく姿を隠さなすぎて「おいコラ!」ってなるんだけども…。フウマが「悔いなんてねえよ!」と言うことで、たくさんの道のなかでアイドルという道を選んだことに風磨くんが本当に後悔しないでいてくれそうに見えて、多分それが一番うれしくて泣けた。

 

フウマが病室で亡くなったあと、ユウキを助けようとしてユウマは崖?みたいなところに登って転落し、意識を失う。仮死状態になって天国の門の前で再びフウマに会うのだ。そこで自分の心臓の入った小箱を渡すフウマ。ユウキの病気の治療ための心臓。

これは、ハート=ショービスの世界を生きるための心をフウマからユウマに引き継ぐシーンでもあるのだと思う。フウマは後に残る者たちに、ボクシンググローブと心臓を、引き継ぐ。

 

ジャニーズって、先輩から後輩に衣装が引き継がれる。タグに「木村」って書いてある衣装が取り合いになったとか、Mステ出演時の衣装は○年に嵐がコンサートで着てたやつだ!とかよく話題になる。後輩たちは先輩の衣装を着てバックで踊ることで、先輩の背中を見て徐々にジャニーズとしての精神を学ぶ。あんな風に夢を叶えたい、あの一番前の景色を見たいと憧れて、夢をつないでいく。だから、フウマは夢の継承に必要なボクシンググローブと心臓をユウキとユウマに渡すんだと思う。やっぱりドリボってボクシングを描いているようで、ジャニーズを描いている話だ。

 

 

さて、あまりに長くなってしまったので、ここまででエントリを二回にわけます。後半は、SMAPとかジャニーズ全体の話をドリボとからめて書くつもりです。後半アップしたらエントリ貼りますねー。長々と妄想話にお付き合いいただき、ありがとうございました!後半の方が短くて面白い予定ですので!多分!笑 これに懲りずまた読みにきてくださったらうれしいです。

 

 

 

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*1:ジャニオタがよく使う言葉で、ステージで左右対称の振り付けを踊る二人組のこと。ジャニーズ舞台では、振り付けだけでなく、性格やストーリー上の役割が対照的な二人組が描かれることが多い。以下シンメ。