『UTAGE!』の中居正広さんと横尾渉さんと中島健人さんの話
他の方のブログを読んでいて、ブログは話題のリアルタイム性が大切なんだなと思ったばかりなのに、3月に書き始めた記事をやっとアップすることになってしまった。文章力がないので、考えたことを短時間でどんどんまとめられないのがつらい。
3/16放送の『UTAGE!』を観た。この番組を観るのは昨年SexyZoneが「King&Queen&Joker」で出演したとき以来。この日の健人勝利風磨の出番は、SMAPの「ありがとう」を舞祭組の4人とコラボ、そしてアルバムのリード曲「マワレミラクル」の二曲。
月曜のUTAGE観てる。SMAPの「ありがとう」をセクゾンと舞祭組でコラボ。イントロのところ、手をかざしておろすだけの振りなんだけど、息をのむ美しさで目が離せない。勝利さんの視線のコントロールのしかたが好きだ pic.twitter.com/w8owuhjC3i
— さつき (@chocomintholic5) March 18, 2015
とりあえずリアルタイムで観たときには、舞祭組兄さんたち健人勝利風磨を持ちあげてくれてありがとうございます、という感じだった。
が、なんと言えばよいのかうまく飲み込めない感覚が残り、気になって何度か観直して、それが横尾渉さんと中島健人さんの振る舞いによるものだと思ったので、ちょっと書いてみる。
- 横尾さん
どうやらこの番組で舞祭組はお笑い担当。歌がうまいとされる歌手のハモリをやって音痴さを笑われたり、トークでもオチを担当したり。特に横尾渉さんは「師匠」というあだ名がついている。音痴具合が飛びぬけているということで「師匠」なのかな多分。
前回観たときもそうだったのだけど、まずキスマイ4人のこの扱いには毎回少しガーンってなる。ジャニーズを好むようになって日が浅いので、勝手にイメージを抱いているだけだが、キスマイといえば、泣く子も黙るイケイケ集団ではないのか。だって足にキスしろよですし。セクゾンのような少し現実離れした可愛い感じのグループと対照的な、いわゆる「リア恋」枠のお兄さんたちというイメージ。2013年のカウコンの後のコント番組も面白かったけど、コントと違って、『UTAGE!』は歌ったり踊ったりするステージ上だから、アイドルの本業部分と地続きなわけで。
そうなると気になるのは、横尾さんは普段キスマイの活動時にどのようにふるまっているのだろうか、ということである。「ありがとう」を歌っている間中、一度もカメラ目線をしない。それどころか、視線が定まらなかったり、今度は一点を見つめ続けたり。ソロが終わった後も曲は続いているのに、フリーズしてしばらく動かない。横尾さんのあまりにアイドルらしからぬ振る舞いにどきどきしてしまった。彼は何を考えているのか。わざとアイドルっぽく振る舞わないようにしているのかと言えば、健人くんが横尾さんの顔を見たときには、ちゃんとアイドルっぽく目を合わせようとしていたから、そんなことはなさそう。ますます何を考えているのかわからない。なんていうかテレビっぽくない。曲中にひな壇の指原さんたちウタゲアーティストが横尾さんに爆笑してる様子がはさまれるけど、笑いどころがつかめない。ギャグっぽく歌ったり、てへぺろしてくれたりすれば、「師匠キャラ」として安心して笑って観れるのに。全然そうしないから、もはやちょっと怖い。横尾さんのぽっかり開いた口にブラックホール的な何らかの闇をみる。怖い。何を考えているのか気になる。横尾さんに「師匠というキャラ」に収まらないもっと過剰な何かを感じた。
- 健人くん
健人くんは横尾さんとは逆のベクトルで過剰な何かを発していた。一曲の間にぎりぎりまで詰め込まれたアイドルっぽいパフォーマンス、手振り、カメラアピール、笑顔…。これらが視聴者であるファンに向けられたものであるとするなら、話は早い。アイドルがステージ上でファンに向けて魅力的に見えるように振る舞うのは当然だから。しかし健人くんの振る舞いはテレビの前のファンが素直に「かっこいい!」と思う隙がないくらい詰め込み気味なものだった。舞祭組のメンバーと目合わせ過ぎだし。宮田くんはトーク時に「中島健人くんと目が合ってときめいた」と発言している。同じジャニーズの宮田に向けてパフォーマンスしてどうするんだ。
誰に向けられているか分からない過剰なアイドルらしいパフォーマンスの連続は、おそらく健人くんがSMAPの大ファンであることと関係しているのではないかと思う。健人くんは雑誌やテレビのインタビューで度々SMAPの曲が昔から好きであると語っている。いつか詳しく書ければと思うが、中島健人はいわゆるジャニオタ気質をもっている。「ジャニーズである」前に「ジャニーズ」が好きだったのだ。そんな彼が大好きなSMAPの曲を歌っているという喜び、ひいては「ジャニーズである自分がジャニーズの曲を歌う」ということの喜びを体現しているがゆえのパフォーマンスの過剰さだったのではないか。あの宛先不明の過剰なパフォーマンスは、大好きなSMAPさんの曲を歌うなら「こうありたい」という彼の理想像にむかっているのである。中島健人を知らない人が見たときに単なる「ナルシスト」「かっこつけ」だけだと思わないで、その過剰さの理由が気になってくれるとよいなと思う。私が中島健人に惹かれたのは彼が、ファンからのさまざまな視線をちゃんと引き受けて「ジャニーズである」ことに誇りを持っているように見えるのがかっこいいと思ったからなので。
いきなりだが、私はSMAPの中で中居正広さんが一番好きだ。一時期出演ドラマを録画して観る茶の間ファンだったこともある。仕事に対してストイックなところも好きだし、グループやコンビというものに対して運命厨っぽいところも好きだ。
中居さんは、本来マイナスなイメージをもつ事柄を上手にパッケージングして、分かりやすい構図のテレビショーをつくるのが天才的にうまいと思う。3/16の『UTAGE!』であれば
イケメンで歌も上手なジャニーズらしいアイドルSexyZone⇔ブサイクで歌も下手なジャニーズらしくないアイドル舞祭組
という構図(あくまで構図ですから怒らないでください)のショーだった。舞祭組の4人もその構図を分かっていて、歌う前は「緊張感もてよ」などと先輩ぶっていたのが、歌った後には「SexyZoneはすごい!かっこいい!」とわかりやすく持ち上げてくれていた。
中居さんがすごいのは、舞祭組の立場をただ下げるのではなく、舞祭組にも利益のあるような構図のショーにするところだ。たとえば、舞祭組は「ジャニーズなのに歌などのパフォーマンスが下手、ブサイクである」というマイナスのパッケージを貼られることで「ジャニーズなのに格好つけてない=いいやつ、おもしろい」というプラスのパッケージを手に入れる。いろんなことがTwitterやらなにやらで筒抜けになりカリスマ性を維持するのが難しい今、アイドルがダメな自分をあえてさらけ出すことは多くの人に好感をもって受け入れられる。昨年お盆に実家に帰った際に、地元のいとこやその子供たちがみんな舞祭組のおしりの歌を口ずさんでいて、人気の全国区ぶりを実感した。中居さんの手にかかれば、本来飲み込みづらいマイナスなことでも、プラスの糖衣がかけられるので、視聴者は飲み込みやすい。
それに対して、3/16の『UTAGE!』が私にとって何だか飲み込みづらかったのは、上であげた横尾さんと健人くんの振る舞いの過剰さが理由だと思う。
横尾さんはショーの中の「師匠キャラ」として視聴者が安心して観ていられないくらい過剰にアイドルらしくない振る舞いだったし、健人くんは視聴者の抱くジャニーズとしてのかっこよさの期待値を超えて過剰に「ジャニーズ」らしい振る舞いだった。二人がステージで並ぶことでお互いの過剰さが際立ってしまい、中居さんの作る飲み込みやすいショーがバランスの悪いものになっていたのだと思う。
中居さんのことが好きな一方で、中居さんのバラエティの方法論はたまに私を不安にさせる。私の本当に好きなものが中居さんに見つかってほしくないと思う気持ちもある。もし今後SexyZoneがバーターとして共演することになったら、茶の間に親しんでもらえるかもしれないが、決まりきった不本意なイメージが先だってしまうかもしれないから。そのグループの情報を積極的に得ようとしてない人たちに浸透してしまったイメージを変えていくのはとても大変なことだ。まあ、今の健人勝利風磨体制で地上波出まくっている時点で、これ以上不本意なイメージもなにもないのだけど。また、中居さんは共演するたびにその「体制」に突っ込んでくれており、感謝していることもつけくわえておく。
昔、アイドルとは「ほころび」があることだと言った人がいた。まあ「隙」のようなものだと言えば分りやすいか。『UTAGE!』のショーでは横尾渉のほころびは「音痴」なところである。だが、彼のほころびは、そんな表面的なものではなく、もっと深いところにあるんだろうなと思う。その「キャラ」にならないような深いところにある「ほころび」を見出し愛でるのが、アイドルのファンのなるということだと思う。
私はキスマイのことも、横尾さんのこともよく知らない。でも、中居さんの作ったわかりやすい飲み込みやすい「キャラ」を超えて、もっと知りたいと思わせる引力が『UTAGE!』の横尾さんにはあった。友人に連絡し、とりあえずキスマイのおすすめDVDを借りる約束をした。
どうか、あの日の放送を観た方が中島健人くんにもそんな引力を感じますように。「ありがとう」を歌う健人くんは、本当に「ジャニーズである」ことの幸せに満ちていて、楽しそうで、ずっと観ていたいと思った。横尾さんが気になったのは本当だが、私にとってこんなに観ていたいと思えるアイドルは中島健人くん以外にいない。できることなら明日も仕事に行かないで、夢の世界でもう一度会いたい。